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中国再編・撤退の実務(セミナー要旨)

  • 事業縮小・持分譲渡・解散清算の実例及びアプローチ

     

    12月4日、日上正之・株式会社アウトバウンド・マネジメント代表取締役(右写真)を講師に招き、標記セミナーをオンラインで開催した。

    講義冒頭では、中国事業が置かれている現況を整理するため、図を用いて、現地法人がとるべき行動を解説し、講師からは中国事業が上手くいっていない場合には、最終的に事業譲渡・持分譲渡を検討することになるが、まずはリストラによる事業縮小を実行し、状況を改善できるかどうか模索する日系企業が多いと紹介があった。

    事業再編の類型についてはそれぞれのスキームの説明と講師の経験談が語られ、持分譲渡では、売却先が中国企業になるケースでは、中国企業が株主になった途端、コンプライアンスを順守しなくなる等、運営上の問題が生じることが多いとの説明があった。減資については実務上難しいと説明があり、エ商局、外貨管理局、税務局、現場の所感で政府を上流から下流まで各局と上手く交渉できれば、実現可能とのことだった。区や省を跨ぐ合併においては実例が多くはなく、同じ開発区内などで認められるケースが多いとの説明があった。

    次に再編における中国特有の問題点について解説があり、中国では法制度が十分に整備されておらず、人治主義であるため対応が統一していないことが第ーに挙げられ、同一所轄内で同じ手続きを行っても、担当者が違えば対応が違ったり、大都市は手続きに慣れているが、地方でば慣れていない等、手続きがスムーズに進まない実態を紹介した。また中国の場合、国内でも移転価格税制の問題が浮上し、各地域間で税収の綱引きが起こっていると紹介があった。

    講師からは中国での事業再編にあたって、「日常のトラブルや運営上のリスクを放置しておくと、事業縮小や撤退の際に大きな問題になる」と説明があった。また現地で対応する際に、地方では方言などもあるため、日本人では言葉の面で対応することが難しく、中国人コンサルタントではなく必ず中国人の弁護士か税理士かに依頼をし、日本人専門家も入った上で再編に関する交渉を各局と進めるようアドバイスがあった。

    製造拠点の国内回帰を奨励するため経済産業省が実施している「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」の概要と申請状況についても紹介があり、第一弾の申請ではマスクや消毒液など感染防止品メーカーの案件が受託され、進出国別で見ると中国に拠点を置く日本企業による回帰のための申請事例は結果的には非常に少なかったとの説明があった。

    講義後半では各論として、事業縮小・持分譲渡・解散清算の実務についてそれぞれ掘り下げて説明があった。

    事業縮小ではリストラをする際に、従業員と経営者が協議の上、実務的には合意解除をするケースが大半であるとし、経済補償金の相場も紹介された。リストラを上手く行う際のキーパーソンの決め方、メンバー数、インセンティブの相場、リストラの際の経済補償金の支払い要否等についても解説があった。

    持分譲渡では、各スキームにおける送金経路、譲渡益課税、内資化など留意点等の説明があった。

    清算では、事前の綿密な計画策定が必要で、本社の役員、キーパーソン、外部の法律・会計専門家から構成した強力な撤退実行プロジェクトチームの組成が欠かせないとした。注意点として、清算前に経済補償金等の資金繰りの見積りをしっかりやっておかないと、清算開始後に資金がショートした場合は、追加資金のやり繰りや破産リスクに見舞われることになるので注意が必要とのことであった。

    本セミナーは67名の申込があり、当日は56名が受講した。

    (一般社団法人 東海日中貿易センター)

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